福祉の哲学を考える~1.コルプス(corpus)とは。
2011年11月21日 09:10
福祉は行政上の施策として存在するものであり、法に従って厳粛に執行すればよい、と捉えてしまうと、福祉の意味をなさないことも生じてきます。行政関係者が関与しているにも関わらず、自殺に至った例なども多く見られます。福祉は、専門家であるなしに関わらず、個々の支援者自身がしっかりとした考え方をもって臨むことが大切なのでしょう。そこに哲学が問われます。
そこで今週は、阿部志郎著『社会福祉の思想と実践』(中央法規出版)をもとに、福祉について考え方の基点をいくつかみてみたいと思います。
【Q】
コルプス(corpus)とは。
【A】
英語ではコーパス、連帯との意味です。「連帯とは、お互いに仲よくしようという意味ではない」と阿部氏は説きます。「原語のコルプスは体という意味です。体は節々がお互いに支え合って、喜びも悲しみもともに分かち合う。それが体です。小指に刺さったとげの痛みは小指の痛みではない。体全体が痛い。すなわち、この小さなとげを社会全体で受け取れば、これを連帯といいます。」
連帯の意味をこのように捉えたとき、連帯として対象者に向かいあえるか、それはなかなかに難しいことで、「そう簡単に連帯が組めるわけではないでしょう」と阿部氏も述べます。
出典:阿部志郎著『社会福祉の思想と実践』中央法規出版