向精神薬の処方基準
2011年10月26日 09:10
【Q】
多種の向精神薬がありますが、どのような疾患、あるいは症状や状態に、どのような基準で処方されるのでしょうか?
【A】
どの向精神薬も、疾患の原因を治療するものではなく、症状に合わせた対症療法として用いられます。
統合失調症には、共通して抗精神病薬を使用します。従来わが国では多剤大量療法(複数の定型抗精神病薬を併用する薬物療法)でしたが、非定型抗精神病薬が登場してから、単剤化(1種類の非定型抗精神病薬)の薬物療法が行われるようになりました。非定型抗精神病薬や定型抗精神病薬に比べ、錐体外路症状などの副作用が少ないため、第一選択薬として使われています、第二選択薬までは、非定型抗精神病薬単剤(1剤)で効果を見ていくことが、各国のガイドライン・アルゴリズムで推奨されている共通点です。
うつ病には、共通して抗うつ薬を使用します。なかでもSSRIやSNRIは、副作用が少なくうつ病治療の第一選択薬として使われるようになりました。
躁うつ病には、主として炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウムなどの気分安定薬、オランザピンなどの非定型抗精神病薬が使用されます。病期(躁病急性期、うつ病急性期、維持期)に応じて、非定型抗精神病薬、気分安定薬、抗うつ薬が使い分けられます。
薬剤を選択する場合には、年齢(高齢者)、既往症(腎障害・糖尿病の有無など)、アレルギー、副作用歴など、個人的な要素を考慮しなければなりません。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011年