福祉コミュニケーションの基本~3.福祉コミュニケーションの3つの基本姿勢 (1)共感とは?
2011年10月19日 09:10
【Q】
福祉コミュニケーションの3つの基本姿勢 (1)共感とは?
【A】
よく誤解されるものに「同情」があります。同情は、他者の経験に対して、自分自身の同様の経験や理解を踏まえて自分の感情、気持ちを表出することで、どこまでも自分が中心にあります。
これに対して「共感」は、対象者の立場を理解し、対象者の立場になって、対象者の想いや感情を捉えて自分の気持ちを振り返ってみることです。注意しないとならないのは、あまりにのめり込み過ぎてしまうと自分の感情と対象者の感情とが輻輳してしまい、区別がつきにくくなってしまうことです。そこで、「あたかも」自分が対象者であるかのような意識づけのうえで行われる感情の交感といった意義づけをする解説もあります。
では、具体的にどのように対象者にその気持ちを伝えたらよいのでしょうか? 「私も同じような経験をしたことがあるのでよく分かる」との言い方が通常の会話ではよく用いられますが、福祉の対象者は、支援者に行きつくまでの過程で追い詰められた状態にあることも多く、「わかったような」対応をされると返って反発することがあります。そこで対象者と同じ目線に立ったなら見えるであろうこと、感じるであろうことを用いたうえで、自分の経験や理解を合わせて、「このように感じているのですね」「このように捉えられるのですね」とその感じ方や見え方そのものを投げかけるようにするといった例示がよく挙げられます。
出典:都村尚子著『福祉コミュニケーション論-支援を必要な人が求めるもの、支援する人に必要なもの』中央法規出版