「誰にも言わないで」と打ち明けられましたが……
2011年09月26日 09:15
【Q】
ある利用者から「誰にも言わないで」と、話を打ち明けられました。しかし、自分一人で背負いきれる問題ではなく、他の援助者との相談が必要だと思うですが、どうしたらよいでしょう?
【A】
利用者から「誰にも言わないで」と言われれば、責任を感じますよね。援助者として自分を信頼してくれているからこそ、秘密を打ち明けてくれたと考えるとなおさらです。また、援助者として利用者の秘密を守ることは大事な職業倫理ですから、他の援助者に相談することができないと思うのも当然でしょう。
利用者にとって、とても重要な秘密事項であること、他の人には決して知られたくないという気持ちがあることなどに理解を示し、援助者が自分としては他者に言うつもりはないことを伝えることは重要です。ただし、内容についてすべてを誰にも言わないでほしいのか、どの部分ならば話しても大丈夫なのかを確認してみる必要があるでしょう。
例えば、自分が援助者として一人でできる範囲はここまでであるが、この先の話については他の援助者の協力を得なければ対応するのは難しいというようなことも話してみる必要があるでしょう。
守秘義務は協力体制にある援助者全体が負うべきことです。つまり、利用者の秘密事項も含めて対応していく協力体制です。そのことを利用者にも理解してもらい、安心感をもってもらえれば、一緒に問題に取り組んでいく体制をつくることにもなるでしょう。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年