集団と個別
【Q】
デイケアにおける集団対応と個別対応はどうしていますか?
【A】
デイケアにおける支援の方法には、集団対応と個別対応の2つがあります。2つの方法各々をどう組み立てるか、どう組み合わせるかによってデイケアの支援の質が決まってくるといえます。
集団対応は、デイケアにとって特徴的な支援の方法であり、通所者のニーズに合わせてさまざまなグループ活動を用意することができます。デイケアにおける支援の環境や枠組みを形づくっているものといえるでしょう。また集団対応には、通所者が共通の体験をし、支え合い、仲間として成長していける意義があり、デイケア以外の場で集まったり、相談したりできる機会につながります。
一方、通所者のなかには、デイケアに参加しながら「体験を1人で整理しきれない」「集団のなかで自分の意見を言うことにストレスを感じている」「通所者同士の付き合いに困難を感じる」などの思いを抱えている可能性もあります。通所者は、このようなデイケアに関することの思いや悩み、またデイケア以外の問題や課題をもってやってきます。これらに対しては個別対応で支援する必要がありますが、集団対応を特徴としたデイケアにおいて通所者個々の相談に個別対応するのは困難な場面も多くあります。
集団対応を主としたデイケアでどのような個別対応を行っていくかは、デイケア自体の支援の目的や役割、スタッフの人数や構成などによって違いがでてくるでしょう。しかし、通所者各々がどのような目標や課題をもってデイケアに来ているのか、どのような生活をしているのか、理解を深めておくことは大変重要です。その上で、通所者個々への支援のあり方として、集団対応でできることと個別対応でできることを明確にし、通所者本人とスタッフ全体で共有しておくことが大切です。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005年