家族への対応
【Q】
家族への対応はどうすればよいでしょう?
【A】
デイケアのスタッフが通所者の家族と会ったり、直接連絡を取り合ったりする機会は実際にはそれほど多くないと思われます。デイケア通所者は同居家族のいない単身者が多いこともあるし、家族がいる場合も、家族から自立して社会に出ていくために、自発的にデイケアに参加する通所者が多いからでしょう。家族が毎回送り迎えをしたり、デイケアでの出来事や家庭での生活の様子をスタッフと家族が連絡し合ったりする、保育園や幼稚園のような家族のかかわり方は導入の初期を除けば例外的でしょう。本人の自主性を尊重し、保護者のかかわりが必要なときだけ家族に連絡をとる、学校でいえば中学か高校ぐらいの家族のかかわり方がデイケアでは適当でしょう。
家族がデイケアで起こったことやデイケアの通所者同士の付き合いで起きたことを心配したり、困ったりして、問い合わせてくることはあります。遅刻しないで時間通りに参加できているか、食事はとっているか、作業やプログラムはできているか、通所者やスタッフと会話できているか、迷惑をかけていないか、病気の症状が出ていないかなど家族が細かく心配することもあります。本人がデイケアでおきたこと、通所者やスタッフに言われたこと、傷ついたこと、不満なこと、腹の立つことを家族に訴えたり、「デイケアに行きたくない」「辞めたい」と言い出して家族が困る場合もあります。患者さんを1人でデイケアに参加させることで不安になる家族も多いので、家族を安心させる対応がまずは必要です。家族が本人の話をよく聞いてあげて、必要なら本人からスタッフに相談するよう促すことを勧めるのがよいでしょう。家族の疑問や不安にすぐに応えようと焦って、本人抜きで頭越しに家族と話を進めてしまわないように注意しましょう。
本人とスタッフだけでは解決ができない大きな問題がある場合は、家族に保護者としてかかわってもらう必要があります。けんか、暴力、暴言、盗み、セクシュアルハラスメントなどの逸脱行為があったときは、デイケア参加の中止や社会的責任の取り方を含めて話し合うことが必要です。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005年