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アルツハイマー型認知症の人とのコミュニケーション

【Q】
 アルツハイマー型認知症の人とのコミュニケーションのポイントについて教えてください。

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【A】
 アルツハイマー型認知症の代表的な症状としては、見当識障害、記憶障害などが挙げられます。
 見当識障害には、カレンダーや大きな時計を用意しましょう。カレンダーは日めくり、時計はアナログが適しています。利用者が自発的に見ることは少ないかもしれませんが、促して見当識を確認させることに意味があります。
 記憶障害に対しては、覚えていないことを責めるのは厳禁です。本人は覚えられなくて困っているのです。「○○は誰?」「さっき食べたのは何?」と質問攻めにするのもやめましょう。それを思い出して記憶力が飛躍的に伸びることはなく、簡単なことを始終聞かれて答えられないことは自尊心の低下につながります。
 一方で、身体で覚えた記憶、例えば雑巾縫いや洗濯物たたみ、草むしりなどは、かなり正確に再現できます。これらの記憶を手続き記憶といいますが、言葉の記憶とは異なり、忘れることが少ないのです。私たちが長年自転車に乗らなくても、すぐに思い出して乗れるのと同じです。利用者がこれまで獲得し蓄積してきた手続き記憶を探し出し、積極的に活用しましょう。
 聴覚的理解では、聞いて理解する力が落ちているので、一度に2つ以上のことを言うのを避けましょう。場合によっては、簡単な文字を見せて理解してもらうことも有効です。また、重度になっても復唱能力は保たれているので、「おはようございます」と声をかけて、「あら、おはよう」と返してもらうといったあいさつのやりとりを心がけましょう。

出典:飯干紀代子『認知症の人とのコミュニケーション 感情と行動を理解するためのアプローチ』中央法規出版、2011年


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