「すべてお任せします」と言われてしまうのですが……
【Q】
支援計画を立てるために利用者と相談していますが、「すべてお任せします」と言われてしまい、困っています。どのようにこの事態を突破すればよいでしょう?
【A】
援助者として信頼されているとはいえ、「すべて任せる」と言われても、どうしたらよいのか困りますよね。支援計画を立てるにあたっては、利用者の希望や意向を抜きには進められませんから、なんとかそれらを把握しなければなりません。
まず、利用者が置かれている状況について考えてみましょう。これまで自立した生活を送っていた人が、病気や障害などによって急に他者の手を借りなければならない状況になれば、これからどうやって生活すればよいのかわからず、また自分で考えていこうという気持ちも失せ、専門家にすべてを任せたい、一番よいと思われる方法を提示してもらいたいという気持ちになるかもしれません。このように、希望や意向をはっきりと示さない利用者の場合は、どうしたらよいのでしょうか。
まず、利用者の生活様式や生活歴に目を向けてみましょう。「1日をどのように過ごしているのか」「どのような仕事をしてきたのか」「家族の中ではどのような話題が多いのか」など、その人の生活にかかわることを話題にしてみることです。そのような話のなかから、利用者が生活の中のどのようなことに気をつかっているのか、何を好んでいるのか、重要視しているのかといった利用者の考え方や志向などがわかってくるかもしれません。そして、利用者の日々の状況を観察し、その様子から利用者の好みや考え方を把握していくことも重要です。利用者の考え方や特徴が少しでもわかれば、支援計画を立てるにあたっても、その人に見合った提案をすることができるでしょう。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年