利用者の話の核心がつかめないのですが……
【Q】
いろいろな話をしてくださる利用者なのですが、何を求めているのかつかみどころがありません。相手の話の核心をつかむにはどうすればよいのでしょう?
【A】
利用者の話をていねいに聴くことや傾聴の姿勢は、利用者との信頼関係をつくっていくうえで大事なことです。利用者が援助者に対していろいろと話をしてくれるということは、信頼感をもってくれているということでしょう。
援助者の傾聴の姿勢は大事ですが、利用者の話のなかからニーズを把握し、それに対応する計画を考えていくためには、それだけではなくさまざまなコミュニケーションの方法を活用してみましょう。
例えば、「○○ということなんですね」とか「○○というお気持ちなのですね」などというように、利用者の話していることを確認するというのも一つの方法です。これはマイクロカウンセリングの基本的かかわり技法のなかの「反映」といわれる技法で、利用者の言っていることの意味を探索していったり、利用者の感情を援助者が感じとろうとするために用いる技法です。これによって、援助者が利用者の話を理解しているということを表すことになります。話を聴いているということを利用者にわかってもらえば、援助者が話の流れをつくっていくことにもつながるでしょう。
また、具体的に相談内容を詰めていく段階では、何のために話し合いを設けているのかという、面接の目的を明確にしておく必要があるでしょう。「○○のためにお話をうかがいたいと思います」とか「○○について今後の対応を話し合いましょう」などというように、具体的に示してみるという方法もあります。
さらに、先ほどの反映の技法と合わせて、「今のあなたのお話は○○ということですね。それでは○○についてのお考えはいかがですか?」というように、会話の合間に少しずつ援助者が面接の目的に沿った質問を投げかけていくことによって、援助者が話の流れをつくっていくこともできるでしょう。
出典:神山裕美・木戸宣子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年