「災害弱者への支援-社会福祉の立場から災害支援を考える」3
【Q】
避難準備情報や避難指示とはどういったもの?
【A】
都市部の多くは、隣は何をする人ぞといった状態ですが、防犯意識を高めるためにも、よく見かける人なら、「おはようございます」程度の声掛けをしていれば、それだけでも地域のつながりをつくるきっかけになります。今日の日本では、ほとんどの地域に自治会などがありますが、そうした会合に一度は顔を出すことも必要でしょう。また学校などのPTAの集まりでも構いません。地域の人と知り合い、なんらかの接点をつくっておくことが肝要です。
そうした下地をつくっておいて、地域に暮らす要介護の高齢者や障害者の状況にも目を向けてみましょう。静岡県のように巨大震災にそなえて防災訓練を頻繁に行っているところでは、地域の災害弱者への避難支援も日頃から整えています。ここでは近隣の住民による支援体制を組んでいるほか、福祉関係者が確認支援を行う体制を整えていますが、個別の災害弱者への対応は、地域の力なくしては成り立ちません。個人情報の保護が行きすぎることのないように、地域の絆をつくる視点とその取り組みへのきっかけをもちたいものです。
さて、各自治体からは、緊急時には様々な情報が発信されます。大きく分けて3つの種類があるので、知っておきましょう。「避難準備情報」「避難勧告」「避難指示」です。避難準備情報が出たなら、近隣の災害弱者への支援体制を整えます。勧告は指示よりは弱いものですが、この時点で避難場所へ避難したほうが無難です。もちろん、豪雨などでは自治体も各地域の細部の情報までは把握できませんから、それぞれの地域の自主性が大切であることはいうまでもありません。
小林雅彦著:「民生委員のための地域福祉活動実践ハンドブック」(中央法規出版)2011年8月刊