コミュニケーションにおける「沈黙」
2011年08月12日 09:00
【Q】
高齢者と話をするとき、沈黙が長く続くと気まずい雰囲気になってしまいます。
【A】
話をしていて「…」と相手が沈黙してしまうと、非常にばつが悪かったり、うろたえたりすることはありませんか? 次に何を言おうかとあせってしまい、思いついたことを言ってみたものの、相手がさらに困惑して「……」。こうなると、お互いに会話がかみ合わず、悪循環に陥ってしまいます。
利用者が相手の時だけでなく、同僚同士でも近所の人でも、あるいは恋人同士でも、会話に沈黙があると、誰しも急いで次の言葉を継がなくてはと思いがちです。
カウンセリングでは、沈黙は金であると考えます。つまり沈黙というのは、相手が頭の中で出来事を振り返ったり、自分の考えを見つめなおして組み立てたりするために必要不可欠な時間ということです。ですから、カウンセリングでは沈黙を尊重し、推奨します。
高齢になるほど、出来事を思い出したり、考えをまとめるのに時間がかかります。ですから、利用者の表情をよく見ながら、次の言葉が出てくるまでじっくり待つよう心がけましょう。ちょっと待ちすぎかなと思うくらいがちょうどよい沈黙の時間です。
何かを思い出したり、何か言いたいことが見つかったときは、利用者の表情に何らかの変化が表れるものです。
出典:飯干紀代子『認知症の人とのコミュニケーション 感情と行動を理解するためのアプローチ』中央法規出版、2011年