ケア会議の具体的な展開のしかたは?(4)
【Q】
よりよいケア会議としていくためには、どのように展開すればよいのでしょうか。コツのようなものがあれば教えてください。
【A】
前回に続いて、ケア会議の各プロセスのポイントについて説明します。
(4)支援目標の設定
このプロセスでは、アセスメントにもとづいて、利用者の今後の生活にとって必要と思われる支援目標を参加者全員で出し合い、リストアップします。
往々にして支援目標は、現状(よくない状態)からその原因を探り、二度とそのような(よくない)状態にならないように、という想いから設定されがちです。
しかし本来、目標とは「現状」と「あるべき姿」の「ギャップ」に焦点を当て、「あるべき姿」に向かうステップとして設定するものです。「あるべき姿」が長期目標、そこに向かう小刻みなステップが「中期目標」、踏み出すべき初めの一歩が「短期目標」となります。
短期目標はより現実的で実行可能なものを、中期目標はその連続線上で将来的に具現化しそうなものを、長期目標は理想的で夢のあふれるものを設定したいところです。いずれにしても、具体的にイメージできる目標であることが望ましいでしょう。参加者が今後の支援の展開と利用者の生活が変化していく様子をイメージできると、支援の実効性がより高まっていきます。
なお、目標の数は多すぎると、「目標を立てたつもり」にはなっても、実行できない場合があります。短期目標は3~5つ程度、中期目標は2~3つ程度とするのが現実的です。
(5)支援計画の策定
実現可能な目標設定をしたら、次に1.実現可能性、2.支援者の能力、3.利用者等当事者の能力、4.社会資源の状況などを勘案して、具体的で実行可能な順に整理しなおします。
その上で、支援目標ごとに担当者と実行時期を割り当てます。このとき、次回のケア会議の日程を支援計画のなかに位置づけ、モニタリングの機会を確保することが大切です。
なお、ケア会議への利用者・家族の参加の有無にかかわらず、支援計画の策定・変更については同意を得ることが原則であり、支援計画書は利用者本人や家族にも配布します。
出典:野中猛・高室成幸・上原久著『ケア会議の技術』中央法規出版、2007年