通所者からの告白

【Q】
　異性の通所者に告白をされました…。

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【A】
　古今東西、恋愛は人類の営みに不可欠なものです。そして恋愛は人の健康な成長や発達という視点から考えたとき、思春期や青年期の課題として大切なものです。対応する前提として、恋愛は健康な感情であり人を成長させる経験であることを、スタッフ自身が理解することが大切です。そして、デイケアという集団援助場面で、恋愛を成長する体験に結びつけていくことが重要になります。逆説的な表現をすると、恋愛を罪悪感や自己否定、傷つきにつなげないことが大切です。
　個別の援助関係と同様に、デイケアでも恋愛感情が起こりやすいということです。それは他では決して開示できない自分のつらさや悩みを共有されたという安心感や信頼感が―これは援助関係や仲間意識では必要なものでもありますが―今まで共有できる体験が希少であればあるほど、特別な失いたくない関係＝恋愛と錯覚されやすい。一般には学校の若い異性の担任への憧れと近しいものであり、個別の援助関係では恋愛転移と定義されるものです。対応する前提として、個別や集団を含めて援助関係では恋愛転移が起こりやすいということを、スタッフ自身が理解することが大切です。そして不必要な転移を防ぐために、日頃から呼称や言葉遣い、スタッフ自身の個人情報の開示など、対通所者関係での個人境界を意識した上でのかかわりが必要です。

出典：日本デイケア学会編『精神科デイケアＱ＆Ａ』中央法規出版、2005．