通所者の問題行動
2011年07月27日 09:30
【Q】
デイケアの通所者に問題行動がみられます…。
【A】
精神科デイケアのように、さまざまな疾患の通所者が、集団で活動を行っていると、時折、通所者もしくは通所者・スタッフ間で好ましくない影響を与えたり、与えられたりする場面に出くわすことがあります。例えば、他者への暴言・暴力行為、自傷行為、異性の通所者への過度な接近、盗癖、治療スタッフへの独占などがあげられます。
通所者の問題行動とその対応例について、事例を1つ紹介したいと思います。
●男性 診断:統合失調症●
この男性は、女性通所者への過度な接近がみられ、その際の女性との距離のとり方が課題となる通所です。デイケアでは常に女性を求めて行動し話しかけて回るのですが、その話しかけるときの対人距離がとても近く、相手の顔を覗き込むようにして話す接近行動がみられていました。また話の内容も自分の得意分野の話を一方的に話続けるため、話を聞かされる通所者も辟易し、困っているとのことでした。
スタッフは、本人の明るい性格や能力の高さ、自己愛の強い特徴を理解した上で直接介入することにし、例えば、活動のなかで女性通所者への過度な接近がみられるときには、その都度「距離が近すぎませんか」などと本人が傷つかないように介入したり、時にはリーダーなどの役割を担ってもらうことで周りとの距離を保ち、それでも改善されないときには、スタッフが直接その間に割ってはいることで個人を守り、安心して楽しめる集団活動の場を保つことを心がけました。そのかかわりを続けることで、女性の関心はかわりませんが、女性への接近行動は見られなくなりました。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.