デイケアプログラムへの不参加
【Q】
通所者がプログラムに参加しません……
【A】
デイケアは、なにもしなくても、自分を受け入れてくれる、安心で安全な場所であると通所者が感じること、スタッフがそれを保障できることが大切です。疲れやすく、不安になりやすい、また緊張しやすく、場の流れがわかりにくいといった生活のしづらさを理解し、安心していられる環境づくりを心がけましょう。
デイケアに来所しても、プログラムに入れない、または入らない理由は何か。まずは、主治医から通所者の病状をきちんと聞いておく必要があるでしょう。来所するだけで精一杯の通所者や対人関係のストレスから自分を守っているとも考えらえます。プログラムに参加をしなくても、デイケアへ通所してくることは着替え・洗面・交通手段の使用などさまざまなことを伴います。デイケア内でも、自らプログラムに参加しなくても、耳や目を通して入ってくる刺激は多いでしょう。また家族にとっても、1日のうち、何時間かを離れて暮らすことで心のゆとりが生まれます。デイケアに来所するだけで、プログラムに参加せずとも、こんなによいことがあるのです。
とはいえ、デイケアは、医療的なサポートの下、デイケアという集団で本人の回復段階に応じて、レクリエーションを中心とした多様なプログラムを通して、楽しみ、・喜び・達成感・連帯感・充実感等を再体験したり、失敗・争い・不和・中傷なども体験し、他人との距離のとり方や不安などへの対処の仕方・病気や障害に対する知識や対処法・心のゆとりのもち方などが得られる貴重な場所です。プログラムに参加しない理由を聞いてみると共に、通所者がプログラムに入れるような工夫も大切です。
デイケアが通所者の主体性を尊重し、1人ひとりが大事にされている、と通所者が感じられるデイケアであるとよいと思います。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.