SST(社会生活技能訓練)
【Q】
デイケアでSSTを行うポイントを教えてください。
【A】
デイケア集団で行うSSTの特徴は、ふだん一緒に活動をしている仲間が集まって行うので、互いに助け合い楽しく学ぶ雰囲気がつくりやすく、またそういうグループになるようにスタッフが心がけることで、参加者の得られるものがずっと大きくなります。SSTのそうした互いに学びあう雰囲気は、他のプログラムやデイケア集団全体にもよい影響を与えます。
SSTは、関心がある人ならどんな人でも大丈夫です。まだ調子が悪かったり、「現実的な自分の問題」に関心がない人は、興味をもてないかもしれません。輪のなかに入るのが緊張してしまう人は、外から見学するだけでも楽しめますし、個別に1人SSTを行うこともできます。
SSTの実施時期は、デイケアに慣れて、その人らしさがでてくるころ、生き生きし始めてデイケアが楽しく感じるころから始めると導入がスムーズにいきます。どのくらいの期間でSSTに参加できるかは個人差がとても大きいと思います。
SSTには、まず慣れるための練習が必要です。例えば、デイケアの仲間に話しかけたり、「こんなときはどうしますか」という課題カードを選んで練習したりします。練習の進め方のコツは、可能な限りその人にとって必要な課題とステップを見極めて、個人ごとに練習の仕方を工夫することが望ましいです。
SSTを行う際に気をつけておきたい点は、なるべく治療という雰囲気にならないように、楽しみながら、それぞれ自分の課題にチャレンジできるようにすることが一番大切だと思います。そのためにも、なるべく皆の意見をたくさん引き出しながら進めることや、ふだんの生活体験を大切にしてそれを気楽に話せるように工夫することが必要です。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.