芸術療法
2011年06月28日 09:10
【Q】
芸術療法の実施のポイントを教えてください
【A】
デイケアでの芸術療法(アート・セラピー)プログラムの発展にはめざましいものがあります。一方では、絵画、音楽、文芸、連句、コラージュ、箱庭、心理劇、ダンス、ムーブメント、粘土、陶芸など、すでに技術的に確立されているものがあり、他方では、書道、華道、茶道、造形教室、各種クラフト、工芸、七宝、フラワーアレンジメント、園芸など試行中の多くの表現技法があります。
さらに作業療法やリハビリテーションからの技法応用の一連の領域として、レクリエーション各種、手工芸、ハーブ栽培、農耕、森林浴など、表現に近接した集団や環境への応用技法も数多く試みられています。
芸術療法の実施にあたっては、各種の表現技法から、どの領域を選ぶかという技法選択への配慮があります。各種の芸術療法は、それぞれに適応基準(クライテリア)を有しており、症例に即した臨床の場での配慮が求められます。表現行為の水準としては、より退行が深く、病理が露呈しやすい状態から、より健常者に近く、表現への対応がより安心して実践できるものまで各種の表現の諸段階が考慮されてきています。臨床の場では、患者さんの病態水準に対応した技法の工夫と時機(タイミング)の判断が必要です。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.