「質問力」の磨き方(1)
【Q】
利用者や家族から的確に情報を得るために「質問をする力」を高めたいと思っています。どのようなトレーニングをすればよいでしょうか?
【A】
対人援助職者にとって「質問をする力(質問力)」を身につけることは、仕事の質を高めていく上で欠かすことができない要素です。今回から5回にわたって高室成幸氏(ケアタウン総合研究所)の著書『ケアマネジャーの質問力』から、質問力に磨きをかける方法をご紹介します。
第1の方法は「聞き上手になる」ことです。
「質問力」を高めるのに「聞き上手になる」ことが大事とは、一見おかしな話に思えるかもしれませんが、利用者や家族が専門職に対して求める第一のことは「話を聞いてもらうこと」なのです。聞き手である専門職が自分の話を真剣に聞いてくれるのか、事務的に無表情に聞かれているのかでは、話し手の「ノリ」が違ってきます。真剣に聞いてくれる相手の質問には、真剣に答えようとするのが、当たり前の人間の感情ではないでしょうか。
「聞き上手」になるための技術をいくつかご紹介します。
(1)促しの技術
・「興味」を抱いて聞く
例「今のお話は興味があるので、もう少しお話しいただけますか?」
・「感嘆言葉」を添える
例「いいですねぇ」「そうですかぁ」「すごいですねぇ」「さすがですねぇ」「すてきですねぇ」「すばらしいですねぇ」「ほぉ~」
・「聴く姿勢」でのせる
例:うなづく、身を乗り出す、ペンを持つ、話し手の顔を見る、目を合わせる、軽くほほえむ、真剣に見つめる
(2)反復化・明確化・要約化の技術
・「反復」の技術を使う
例「○○に行かれたのですね」「○○と思われたのですね」「○○を希望されていたのですね」
・「明確化」の技術を使う
例「ちょっと確認したいのですが、○○は……のことですか?」
・「要約化」の技術を使う
例「ここでお話を簡単にまとめたいのですが、○○は××ということでよろしいでしょうか?」
(3)待つ技術
例「ゆっくりと思い出してお答えください」
出典:高室成幸著『ケアマネジャーの質問力』中央法規出版、2009年