デイケアプログラム(所外活動)
2011年05月31日 09:20
【Q】
所外活動の実施のポイントはなんでしょうか?
【A】
デイケアの部屋を離れた所外活動は、自然のなかで心を和ませ、仲間たちと歩きながら特定の通所者と話が弾んだり、通所者同士の対話(ピアカウンセリング)を促進したり、街に慣れ、人に慣れることができます。また、実際に店に行って買い物をしたり、公共の場でマナーを守ることを覚え、異性と話すチャンスが生まれたり、人生を楽しみ「生きているのはよいことだ」と実感する効用があります。
精神障害者の生活支援でも、外での支援(アウトリーチ)の重要性が強調されています。仲間づくり、ピアカウンセリング、余暇の過ごし方を含む社会生活技能の習得、これら3つは所外活動でより促進される面があります。デイケアに、薬物療法の改善、静養、生活リズムをつくることを主な目的として参加する人もいます。しかし、より積極的に、生活を楽しみ、友達をつくり、人と町に慣れ、今の自分に「これでいいんだ」と自信というか悟りをもち、仲間からの情報で安心し、生活技能を向上する、これらのために所外活動の占める意義は、かなり大きいと思われます。
所外活動はその日の思いつきではなく、話し合い、ちゃんと準備して行ったほうが成果が上がるようです。準備のための活動自体が、1つの目的に向かって分業するという生活技能の向上につながります。所外活動としての旅行もお勧めです。
デイケアの診療報酬では、「食事加算」はありますが、「所外活動加算」はありません。デイケア治療の一環として、だれが料金を払うのか、という問題が生じますので注意が必要です。また所外での事故のために、デイケア保険の加入も必要でしょう。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.