要介護者と生活保護(1)
2011年05月23日 09:20
【Q】
介護保険の保険料を何とか支払ってきたが、このところ滞納してしまっている。生活保護を申請したほうがいいのか?
【A】
介護等の支援に関わっていて、介護保険の利用者からこのような相談を受けることがあるのではないでしょうか。介護保険制度においても、低所得者対策が盛り込まれていること、自治体が減免制度を設けている場合もあることから、まずは自治体の介護保険担当者に確認することが大切です。しかし既にこうした減免に関する制度を使っていてなお、支払いが困難だとなると、生活保護を検討する必要が出てきます。
ただし、生活保護の適用となるには、審査により厳格な制度の運用が図られます。生活保護制度の基本的な原理には、「保護の補足性」があります。預金はもちろんのこと、現状では生活で必要としていない土地や家屋、貴金属や多額の解約返戻金、生命保険などがあれば、それを売却したり解約したりして活用することが前提となります。介護保険の利用者の多くはもはや就労できる状態ではないので問題にはなりませんが、当人に働く能力があれば就労の必要があります。また3親等内の親族がいればこうした人たちの扶養義務を明確にして、援助を受けるように働きかけることが求められます。さらには、年金や手当てなど、他の法律や制度の適用となるなら、それらの法制度が優先される決まりとなっています。
こうしたことを行ってもなお、国の定める以下の収入しか見込めない場合には、生活保護が受けられるようになります。
【参考書籍】
『ケアマネ業務のための生活保護 Q&A』六波羅詩朗著、中央法規出版