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排尿障害とは? その種類

【Q】
 失禁に限らず、排尿にはさまざまな障害が伴うと聞きます。その種類について教えてください。

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【A】
 排尿障害の主な要素は、「うまくためられない」「うまく出せない」「自覚症状がつらい」という3点にまとめられます。ですから、その原因を追求してこれらの問題を解決することが、治療の目標になります。
 施設に入所している高齢者の場合、半分以上に何らかの排尿症状があるといわれています。排尿症状には、次のようなものがあります。

・頻尿
・夜間頻尿
・尿意切迫感
・排尿困難
・尿失禁
・残尿、残尿感
・排尿時の痛み

 同じ訴えでも、その原因は人によってさまざまです。ここでは、高齢者によく見られる代表的な疾患、症候群を解説します(尿失禁は省略)。排尿障害は、原因による分類や症状による分類などが混在しているため、同じ症例にいくつかの診断名が同時につけられることもあります。
 また、本人や周囲の人のQOLに影響するだけでなく、その原因に重い病気が潜んでいる場合もあるため、適切な診断と治療を行う必要があります。特に短期間のうちに排尿状態が変化した場合は、泌尿器科の診察を受けるようにします。

夜間頻尿
 夜間頻尿は、加齢にともなう排尿症状のなかで最も多くみられる症状の一つです。原因は、膀胱の働きが不安定になることによる睡眠中の膀胱容量の減少や、夜間就寝中の尿量の増加、睡眠障害が影響すると考えられています。
 尿量が多い場合は、飲水量を調節したり、尿量を調節するホルモンを投与することがあります。膀胱が過敏になっている場合は、膀胱の刺激症状を和らげる薬を使用します。

過活動膀胱
 いったん尿意を感じると我慢できず(尿意切迫感)、頻尿や夜間頻尿もともなう状態を「過活動膀胱」と呼びます。症状が強いと、トイレにたどり着く前に失禁してしまうこともあります(切迫性尿失禁)。
 ただし、腫瘍や結石など、明らかに膀胱を刺激する原因がある場合は、過活動膀胱とは呼びません。40歳以上の全人口の約1割、800万人以上にこの症状があると推定されています。
 治療は薬物療法が中心です。膀胱平滑筋を緩める薬を使用し、過剰な尿意や膀胱の収縮を抑えます。
 一定時間尿を我慢する行動療法も有効で、薬物治療と行動療法を組み合わせた方法が採られます。

排尿困難
 尿がうまく出せない状態を排尿困難といいます。排尿困難が強くなると、排尿後も残尿が生じたり、尿がほとんど出せなくなること(尿閉)があります。
 このような場合は、腎機能障害や感染、結石生成などの原因となるため、薬物療法に加え、場合によっては手術やカテーテル管理を必要とします。

前立腺肥大症
 男性特有の臓器である前立腺は、40歳を過ぎると次第に大きくなります(前立腺肥大)。前立腺肥大自体は加齢に伴う生理的変化で、60歳で6割程度の人にみられます。
 その多くに排尿困難、残尿感、頻尿、尿意切迫感などさまざまな症状をともなうため、症状に応じた対処が必要です。

出典:浜田きよ子編『自立を促す排泄ケア・排泄用具活用術』中央法規出版、2010年


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