話し合いグループ
2011年05月06日 10:00
【Q】
デイケアでの話し合いグループのもち方はどうすればよいのでしょうか?
【A】
精神科デイケアにおいて「話し合い」は、すべての活動の基本となります。「話し合い」は、自分の考えや意見を述べ、他の通所者に聞いてもらうことで自尊心を回復し、主体性を育てる機会となります。また、他の人の意見や考え方を聞くということで協調性・仲間意識が生まれます。
「話し合いグループ」を実施するポイントは、まず、通所者1人ひとりの存在を尊重し、個々の発言を否定することなく、各々の考え方や意見の違いを個性として配慮することです。全員に話す機会があることを保障するとともに、話をしなくてもよいことも保障します。スタッフは、「今、ここで」なにが起こっているのか、という人と人とのかかわりに視点をおいて個々人に関心をもつことが大事です。沈黙やため息、しぐさなどの非言語的コミュニケーションも通所者の自己表現ととらえ、時には、グループ場面でそのことを話題にすることもあります。
「話し合い」は、スタッフ対通所者という一方向のやりとりではないので、そこでのスタッフの役割は、理解した内容を通所者に伝えたり、通所者から出た意見や質問を他の皆に広げたり、それぞれの体験を語りやすいように通所者間の相互作用を促進することです。
スタッフは客観的に通所者の動きを観察することも必要ですが、時には自分の感情をしたり、意見を述べることでグループの一員として参加し、グループを進行させるモデルとなります。そのことによって、通所者同士認め合い、自由に話し合える雰囲気ができてくるでしょう。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.