デイケアでのお茶の時間、休憩時間
【Q】
お茶の時間、休憩時間のもち方はどうすればよいでしょうか?
【A】
お茶の時間のもち方のかたちの上での問題、つまり、どの時間帯に置くか、誰が世話をするか(いわゆるお茶当番)、お茶の種類といったことについては、それぞれのデイケアが個性ある構造をもっているはずで、自ずとそこからお茶の時間が位置づけられてくるでしょう。お茶の時間のマニュアルがあったりしたらこれはおかしいことです。
ただ、お茶の時間は(休憩時間も含めて)、デイケアの中でいろいろな意味あい、意義をもっていると思われます。デイケアのプログラムに関して、課題別(活動)プログラムを「オモテ」のプログラムとし、それだけでは不十分で、たとえば個別面接、家庭訪問、スタッフミーティングなどの「ウラ」のプログラムを充実させて立体的に構成する必要がある、という見解があります。「かたちをもった」ウラのプログラムが重要であることはもちろんですが、「目に見えにくい」プログラムも大切だと思います。例えば、通所者同士が、夜電話をしあうとか、デイケアの帰りに皆で喫茶店で時間を過ごす(「第2のデイケア」と呼んでいたりします)といったウラのことです。お茶の時間は、このウラのプログラムに近い機能をもっているのではないでしょうか。
お茶の時間についてもう一つ難しい問題を考えたいと思います。それはタイミングです。答えがありそうで答えはありません。日本では「おさんじ」「おじゅうじ」という言葉があるように、決まった時間におやつとお茶がでる習慣がありました。イギリスでも決まった時間になったらどんな仕事をしていても必ずゆっくり紅茶を飲むそうです。デイケアのお茶もこれに準じるところが多いようです。しかし、お茶の時間には「そろそろお茶にしましょうか」とった時間の立て方があります。これは自分で主体的に時間をつくる、「間」をつくるという働きです。これは時間を表す2つの言葉、クロノス(時計による時間)とカイロス(時が熟するという意味での時間)の違いに対応するものです。デイケアのなかで、こういうカイロス的お茶の時間の立て方ということができれば、より深みのある場になるだろうと思っているのですが、どういう工夫があるのか考えていきたいものです。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.