震災で改めてみる社会保障関係費(5)
2011年04月01日 09:10
【Q】
社会保障国民会議はどうなるの?
【A】
将来の社会保障給付費の増大を一定規模に抑制することを含めて、小泉内閣以来進められてきたのが、「社会保障構造改革」でした。特に経済財政諮問会議で打ち出された「骨太の方針」においては、国際競争力を高めるためにと雇用の流動性を高め、医療費の抑制等、聖域なき構造改革との掛け声のもと、社会保障給付費の抑制を推し進めてきたのでしたが、金融恐慌をきっかけに結果として医療崩壊、非正規雇用者の増大など、社会不安を増大させる傾向が強まり、そのことが政権交代の大きな要因となったことは記憶に新しいことです。
民主党政権下では、特に菅内閣になってからは、「社会保障国民会議」にこうした議論の方向性を託すようになり、セーフティネット構築の議論が高まっていたところでした。従来の高齢者中心の社会保障制度のあり方を見直し、次代を担う若年者向きの施策の充実を図るなどの大本の方針は理解されるところですが、財源の確保は実に厳しく(財政赤字は800兆円を超えています。地方、三セクを含めると1000兆円を超えるとの試算もあります)、そのなかで社会保障をセーフティネットとして構築していくには、国民生活の基本的なあり様、また生産体系のあり方、そもそもの貨幣経済のあり方といったことまでを議論しないとならないと言えるのかもしれません。
このたびの震災でその復興費用を考えるとき、改めて日本の行く末を捉え直していくことの大切さを思いました。
【参考資料】
「社会保障入門2011」、平成23年2月15日発行、中央法規出版、定価本体2400円