震災で改めてみる社会保障関係費(4)
2011年03月31日 09:30
【Q】
税金と合わせて捉えるとどうなる?
【A】
震災のために議論が止まってしまいましたが、菅内閣が強く訴えていたのが、税と社会保障の一体的な改革でした。古くから、これらの論議を展開するときに使われるのが国民負担率ですが、これは税と社会保障関係の保険料や拠出金とを合わせた国民所得比を表した指標で、2010(平成22)年度では、39.0%になる見通しです。この数字は欧州諸国などと比較するとまだ低い数字ですが、近年の社会保障給付費の伸びをみますと、国民負担率が50%に達するのもそう遠くないとされています。この負担に、日本経済が耐えられるのかといった議論は以前からあり、自民党政権下では50%を上限とするとの目標が唱えられていました。
さて、最小不幸社会を唱える菅内閣は、これまでの政権の考え方をどう見直すのか、震災復興費を捻出するための増税が既に議論に上る中、消費税率アップの議論と重ねて、国民負担率の数字をみていくことも、社会保障の今後を考えるときには、大事な指標となっていきます。
【参考資料】
「社会保障入門2011」、平成23年2月15日発行、中央法規出版、定価本体2400円