面接での具体的な質問のしかたについて(最終回)
【Q】
利用者と面接をしているなかで、的確に情報を収集できていないと感じることがあります。必要な情報を得るための具体的なヒントを教えてください。
【A】
対人援助職者にとって「質問をする力(質問力)」を身につけることは、仕事の質を高めていく上で欠かすことができない要素です。最終回は「Why」について考えていきます。
前回までに取り上げた「いつ、どこで、だれが、なにを」の情報はデータであり、単純で客観的です。それに対して、「なぜ」を問う質問は、相手の「意思・意図・事情」に分け入る作業であり、相手にとって「深い質問」となり、時には心の傷に触れることもあります。「なぜ」は相手の「本音・本当」を引っ張り出す力を持っている問いかけです。
1.利用者本人の「理由・根拠」を質問する
・身体機能に「なぜ(どうして)」の質問をする
・疾患、障害に「なぜ(どうして)」の質問をする
例「○○となられた理由を教えていただけますか?」
・感情、気持ちに「なぜ(どうして)」の質問をする
・家族関係、近隣関係、人間関係に「なぜ」の質問をする
・意向(希望、期待、望み)に「なぜ」の質問をする
例「○○と望まれる理由をお聞かせいただけますか?」
2.家族などの「理由・根拠」を質問する
・家族の健康状態
・家族の介護力
・家族のかかわり方
例「○○さんがお母さんの介護を積極的になさる理由(どうしても消極的になってしまう理由)をお聞かせいただけますか?」
ここまで5回にわたって取り上げた5W(When、Where、Who、What、Why)のほか、対人援助職者の仕事の質を高める質問技法にはWish、How、Resultといったものもあります。詳しくは下記の書籍をご参照ください。
出典:高室成幸著『ケアマネジャーの質問力』中央法規出版、2009年