デイケアプログラムの治療的意義
2011年03月11日 09:00
【Q】
プログラムに治療的意義はあるのでしょうか?
【A】
精神科医療においてなにが治療的かという定義は難しいのですが、法的側面を考えなければ、「精神疾患に起因したあらゆる苦痛や困難や障害を除去したり、軽減したり、予防したりできること」と考えることができます。
デイケアは、家では得ることができない困難なケアを必要としますが、外来のような短期間でのケアでは不十分で、入院のような24時間のケアは必要としない人に対して、1日6時間程度のケアを提供する場です。急性期で病状の悪化を食い止め改善させたい人、回復期で病状の一層の安定化を必要とする人、慢性期で再燃を防止したり、リハビリテーションを必要とする人など、対象はさまざまです。
デイケアのプログラムに参加することによって、精神障害に伴う苦痛や困難や障害を除去できたり、予防できたりする例もあり、プログラムには直接的、間接的に治療的意義があると考えられます。
プログラムは決して押しつけではなく、「プログラムがないプログラム」も含め、通所者のニードを満たすものである場合に限って、治療的意義をもつことはいうまでもありません。万が一、プラグラムに直接的な治療意義がないと考えても、通所者のニードに基づくもので、通所者の参加があるものであれば、デイケアに通所すること自体が治療的といえるので、プログラムの必要性に変わりはありません。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.