デイケアの通所者の利用期間
2011年03月09日 09:50
【Q】
デイケアの通所者の利用期間ってどれくらい?
【A】
デイケアの通所者の利用期間を一概にどのくらいであるべきと規定するのは難しいことです。利用期間は、デイケア開設機関の運営方針、通所者の状況や家族などの関係、通所者や家族が利用可能な地域の社会資源の質と量など、いろいろなことが複雑に影響しあいます。
通常、デイケアの通所者の主な利用期間は2、3年が多いようです。主な利用期間とは、デイケアに来ることが目標・日課になっている期間のことです。通所者は、退院や長い閉居生活後に医師などから勧められ、不安に満ち迷いながらデイケアに参加してきます。デイケアの場に慣れ、仲間との交流を楽しみ、社会生活を具体的にイメージし行動し始めるのに1年から3年はかかります。途中から身近な社会資源を併用したり、軽い就労をして3年以内にデイケアを終了していく場合と、長期間ほかの社会資源等とデイケアを併用していく場合があります。
利用期間の制限は、スタッフと通所者が利用目的を明確に検討していく上ではメリットです。しかし、ほかの社会資源との併用期間や一時中断後再利用した際、初回利用時から制限期間にされると大変なデメリットになります。特に、ほかの社会資源を利用したり就労したりしてうまくいかずにデイケアを再利用する通所者は、病状が悪化したり自身をなくし自己評価が定価しているので、回復するのに時間がかかります。目安としても利用期間の制限は必要ですが、柔軟な対応も必要です。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.