介護保険制度の改正と保険料の行方(4)
2011年02月03日 09:50
【Q】
介護保険の1号保険料はどうなるの?(その4)
【A】
介護保険制度が施行されたときは、地方分権一括法が制度化された年でもあったため、介護保険制度の施行は地方分権への試金石だとの期待が膨らみました。介護保険制度では、市町村介護保険事業計画を各保険者である自治体が策定し、それに基づいて制度を施行することと法で定められていますが、この事業計画の策定に当たっては、被保険者の意見を反映させることとされ、事業計画の策定委員会に住民代表が加わるなどの対応がなされてきました。
事業計画では各自治体が上乗せ、横出しのサービスを工夫できるとされ、こうした取り組みを行っている自治体もありますが、もちろんそれらは各自治体の保険料にも跳ね返ることになります。新型特養や小規模多機能型のサービスが、その介護の質が保たれるならば認知症高齢者の介護に有益であることはおわかりかと思いますが、サービスの増加は保険者にとっては財源の確保が約束されないと難しいものです。そこで、保険者自体が新型を抑制し、旧来型特養を認めるように提案するなどの事態になっています。今日、介護保険制度は大変に複雑な仕組みになり、事務的な経費も増大していますが、保険制度の財源をいかに確保していくか、それには望まれる質の高いサービスを具体的に国民に知ってもらう工夫も大切でしょう。
(参考文献:堤修三「介護保険の意味論」中央法規出版2010)