介護保険制度の改正と保険料の行方(5)
2011年02月04日 09:20
【Q】
介護保険の1号保険料はどうなるの?(その5)
【A】
介護保険の被保険者年齢の引き下げによって財源を確保し、保険料の上昇を抑えるとの案は、これまでに幾度も検討されました。そこで年齢が低くてもサービスの給付が行われることによって理解が得られるだろうとの考え方から、障害者自立支援法を重ね合わせた制度のあり方が検討されてきましたが、1割の応益負担は厳しいとの障害者の意見から自立支援法の仕組みが変更されることとなり、その結果、保険料徴収の対象年齢を20歳まで引き下げるとの案件は取り下げられました。介護保険制度は、基本的に高齢期の要介護リスクに対応した保険制度であるのですが、やはり対象年齢を引き下げ、財源の裾野を広げていくことは今後とも検討していく必要があるのではないでしょうか。
「障害者であっても医療保険には加入して通常の疾病については医療保険から給付を受け、障害に関する医療は障害者自立支援法による上乗せ給付の対象となっているのですから、介護保険の給付を受けたうえで、それでは足りない(部分に対し)障害者福祉サービスを受ける方式を否定する理由はありません」
そこで両制度を併給できる仕組みにし、負担割合を検討することで、介護保険の被保険者の年齢引き下げを図るという流れが国民にも受け入れやすいのではないかとの意見があります。
(参考文献:堤修三「介護保険の意味論」中央法規出版2010)