なぜ「自分の価値観」を知ることが大切なの?
2011年01月17日 09:10
【Q】
先日出席した研修会で、講師の方が「ケアマネジャーは自分の価値観を自覚することが大切です」とおっしゃっていました。なぜ、そのようなことが必要なのでしょうか?
【A】
ケアマネジャーの仕事は人間同士のかかわりのなかで行われるものなので、どうしても援助をする人のパーソナリティが影響を及ぼします。個性をまったく消し去り、純粋に専門的価値観のみで援助を行うことは実際には無理だと思います。
価値観は個性(パーソナリティ)を構成する要素の一つです。専門職として絶対に避けなければいけないのは、知らず知らずのうちにケアマネジャー自身の価値観が利用者や家族にマイナスの影響を与えてしまうことです。
たとえば、「子どもは親の面倒を熱心にみるべきだ」という価値観をもつケアマネジャーが、特別養護老人ホームに面会に行かない入所者の子どもに対して無意識のうちに批判的対応をしてしまうと、彼らと信頼関係を築くのが難しくなってしまいます。
また、価値観以外にも、これまでの自分の体験から強い反応を示してしまうことがあります。たとえば、幼い頃に母親からヒステリックな声で禁止や指示を継続的に受けて育った人は、高い感情的な声を出す女性の利用者に防衛的になったり感情的に反応してしまうことがあります。
いずれの場合も、自分の価値観や特性を自覚していれば、よりコントロールされた対応が可能になるはずです。そういう意味で、自らの価値観や体験などを自覚していることが大切なのです。
出典:高良麻子著『ケアマネジャー実践力向上ワークブック 基礎編』中央法規出版、2008年