精神科デイケアとは
【Q】
デイケアってどういうものですか?
【A】
精神科デイケアは、集中的な精神科外来通院医療の一形態です。大阪府堺市在の浅香山病院では既に1955(昭和30)年にデイセンターとしてデイケアの試行に着手しています。国立精神衛生研究所(現、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)では1958(昭和33)年ごろから実験的にデイケアの研究を始め、1962年から厚生省の研究費補助を得て今日のデイケアの原型とも言うべき週4日の多職種からなるチームによってデイケアが始まりました。
国立精神衛生研究所のデイケアの約10年に近い実績をもとに厚生省(現、厚生労働省)は正式にデイケアを外来通院医療に組み込み、1974(昭和49)年に社会保険診療報酬で点数化しました。
もともとデイケアは第二次大戦直後、1946年ごろイギリスのJ.ビエラやカナダのD.E.キャメロンが期を同じくして創始した治療形態です。両者ともデイホスピタルという構造において入院治療に代わる密度の濃い身体的・精神的治療を自宅から通院する患者に実施したものです。これらの治療法を始めてわが国に紹介したのは国立精神衛生研究所の加藤正明でした。
デイケアは昼間6時間程度を標準として、医師の指示及び十分な指導・監督のもとに、看護師、作業療法士、臨床心理技術者、精神科ソーシャルワーカー等がチームを構成して実施しています。
集団精神療法をはじめ、創作活動や料理グループ活動からスポーツに至るまで幅広いプログラムによって利用者が自分自身の決定と選択によって参加できるように構造化されています。同じような主旨で、ナイトケア(午後4時以降、4時間程度)は1986(昭和61)年に、またデイ・ナイトケア(10時間を通して実施)は1994(平成6)年に診療報酬で点数化されました。
出典:日本デイケア学会編『精神科デイケアQ&A』中央法規出版、2005.