社会福祉士実習におけるケアワーク
2010年12月10日 09:10
【Q】
特養で実習指導を担当しています。施設長から、社会福祉士学生にはケアワークをやらせないようにと指示されましたが、現場を知るという意味でケア実習をすることも必要と思います。
【A】
実習生にケアワークをさせるのであれば、養成校における相談援助論系の学習のなかで、ケアワークとソーシャルワークの関係性について説明し、演習においてもケアワークを通じた利用者理解の方法やコミュニケーション技術を学ぶ必要があります。さらに実習指導の事前学習においても、介護技術について指導し、それらの業務とソーシャルワークの関連や、実習において取り組む意義をきちんと指導する必要があるでしょう。
重要なのは、社会福祉士学生にとってのケアワーク実習が、「漠然とした現場体験」とならないようにすることです。また、未修者に突然ケアワークをさせることは、サービスの質低下による利用者への権利侵害をもたらすこと、介護事故を惹起するおそれが高まることをきちんと認識し、それを防ぐ手立てが取らなければなりません。特に、質問者の言う「現場を知る」とは、一体どのレベルまで達すればよいものなのか、その到達点や評価の枠組みをはっきりさせる必要があります。
社会福祉士の実習でケアワークを行うことの納得できる理由があり、一貫性のある教育、現場における適切な配慮・実施体制の整備が行われていれば、実習におけるケアワーク体験は必ずしも否定されるものではありません。
(出典:社団法人日本社会福祉士養成校協会=編集『相談援助実習指導・現場実習 教員テキスト』中央法規出版、2009年)