社会福祉士像の伝達能力とは
2010年12月09日 09:30
【Q】
講習会で、指導者は実習生に「社会福祉士像を伝達することが必要」と聞きました。とは言っても、そういうものは個々人が考えるもので、あえて伝えるべきことでもない気がします。
【A】
実習生の受け入れ・指導は、福祉現場の後継者育成という責任のなかで行われるものです。そのためには、自己の専門的実践のあり方を整理して伝達する義務があります。「見て覚えればいい」という態度は専門職として適切とはいえません。
厚生労働省による「社会福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて」(平成19年)のなかで、社会福祉のニーズ拡大等に対応するために、社会福祉士の新たな3つの役割が描かれました。すなわち、福祉課題を抱えた者への「直接的援助機能」、さまざまな専門職や事業者等と連携を図り包括的に支援をしていく「媒介的機能」、社会資源等を開発する「地域福祉増進機能」です。
実習指導者は、日常の実践のなかに埋め込まれがちなこれらの機能と専門性(判断の的確性、技術の卓越性、人権感覚、ヒューマニズム、的確な身体の動き等)を伝える能力が必要です。また、実践記録を読ませ、利用者の問題をどのようにとらえ、どのように支援し、どのような結果を生み出したかを伝えることも方法の一つです。
このような語り・模範の提示・記録のなかに、実習指導者のソーシャルワーカー・社会福祉士としての使命があるといえます。
(出典:社団法人日本社会福祉士会=編集『社会福祉士実習指導者テキスト』中央法規出版、2008年)