外科でみられる嗜癖
2010年11月19日 10:00
【Q】
病院の外科でよくみられる嗜癖はどのようなものでしょうか? 具体的に教えてください。
【A】
一般外科や整形外科、形成外科には、飲酒運転で交通事故を起こしたアルコール依存症者や、酩酊状態ゆえの転倒や火傷で負傷した人、薬物の中毒症状で暴行事件を起こして外傷を負った薬物依存症者、DVによって骨折や打撲した被害者等が受診・入院してきます。アルコール依存症者や薬物依存症者の場合は、家族を呼んでもなかなか来なかったりしますが、逆に、例えば虐待していることが発覚するのを恐れて、顔を腫脹させた女性にぴったりと寄り添う男性(夫やパートナー)もいますし、虐待しているという認識がなく、女性の負傷を心底心配し、申し訳なかったと深く(その時は)反省する虐待者もいます。
また、酩酊状態で外傷を負ったケースでは、例えば熱傷で受診したのに骨折もしていたとか、ずっと後になったら硬膜下血腫が見つかったというようなこともあります。稀ではありますが、手術後のICUでアルコールの離脱症状に出合うこともあります。術後せん妄との鑑別が紛らわしいのですが、アルコール関連問題や長期大量の飲酒歴があることで区別ができると思います。
出典:松下年子・吉岡幸子・小倉邦子編『事例から学ぶ アディクション・ナーシング―依存症・虐待・摂食障害などがある人への看護ケア』中央法規出版、2009年