民生委員による地域福祉活動(3) -精神障害に対する理解
2010年11月10日 10:00
【Q】
精神障害者の作業所をつくる計画に対して、地域の人たちが反対をしています。精神障害を理解するためにどのような取り組みが考えられますか。
【A】
「精神障害者=危険、犯罪を犯しやすい人」という間違った認識をもっている人が少なくありません。精神障害に対する理解の促進に関し、厚生労働省の検討会の提言(『精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すために(心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会報告書)』(2004年3月)では次のような2つの基本的考え方があげられています。
(1)「正しく理解する」
精神疾患は誰でもかかりうる病気です。予防や適切な治療で回復可能であることなど、正しい基本情報を提供し、誰もが自分自身の問題としてとらえながら正しく理解することが必要です。
(2)「態度を変え、行動する」
精神疾患を正しく理解するだけでなく、適切に行動できるようになることが重要です。無理解や誤解のある人は、当事者とふれあうことによって理解が深まり行動変容を期待できます。
そして、まずは民生委員自身がきちんと精神疾患や精神障害者のことを学ぶ必要があります。医師や精神保健福祉士などの専門家の話を聞くだけでなく、精神障害者本人や家族の話を聞くことも重要です。また、グループホームや作業所などを訪ね、継続的に交流をもつことも有効です。
民生委員としては、自らも学びながら当事者や家族の団体、自治体、施設や医療関係者、社会福祉協議会、学校などと連携し、身近なところで地域住民と精神障害者がふれあえる機会をできるだけ多くつくれるとよいでしょう。
(出典:小林雅彦・原田正樹=著『民生委員のための地域福祉活動Q&A』中央法規出版、2006年)