民生委員による地域福祉活動(2) -金銭管理が不安な人への支援
2010年11月09日 09:20
【Q】
一人暮らしのお年寄りについての相談です。遠くに住む息子さんから、「最近母の金銭感覚が麻痺してきているようで心配。どこかで財布を預かってもらうことはできないか」と相談されました。
【A】
このような場合に対応するサービスとして、社会福祉協議会が行っている日常生活自立支援事業があります。
この事業では、福祉サービスの適切な利用や苦情解決制度の利用援助、住宅改造、居住家屋の貸借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出などの行政手続に関する援助が行われます。預金の払い戻しや解約、預け入れの手続といった利用者の日常生活費の管理(日常的金銭管理)も含まれます。
日常的金銭管理サービスを利用すると、社協が預金通帳を預かっておいて、たとえば隔週の月曜日に3万円をおろして本人に届けるというようなサービスが行われます。この場合、どの程度頻度でいくらおろすかは、本人と社協の相談で決まります。また、定期預金証書や不動産の権利証などを、社協が契約している金融機関の貸金庫に預けることも可能です。
ただし、このサービスは本人と社協が契約を結んで利用するものなので、すでに判断能力が相当程度低下している人の場合は、成年後見制度の利用紹介が行われます。
いずれにしても、民生委員自身は金銭の出し入れには直接タッチせず、事業の担当者と連携しながら見守りなどの支援をしていくとよいでしょう。
(出典:小林雅彦・原田正樹=著『民生委員のための地域福祉活動Q&A』中央法規出版、2006年)