内科外来でみられる嗜癖―家族の特徴
2010年11月16日 09:50
【Q】
嗜癖問題においては、家族に問題がある場合も多いとのことですが、内科外来を訪れる家族にある嗜癖とはどのようなものでしょうか?
【A】
受診した本人ではなく、家族に嗜癖問題がある場合もあります。例えば、家族に付き添われて受診した高齢の認知症患者の身体に、不自然な打撲痕があったとします。本人に何があったのかを尋ねても、辻褄のあった答えが返ってきません。家族に確認すると、風呂場で転倒したといいますが、次の受診時にはまた、別の箇所に内出血が認められます。それも、普通の転倒であれば生じないような場所に複数確認できるのです。加えて患者は、低栄養状態で脱水もあります。もともとの疾患いかんにかかわらず、普通に生活している限りこのような状態にはならないはずです。
このような時に、ひょっとしたら高齢者虐待ではないかと疑念をもてれば、それがきっかけで虐待の発覚に至ります。医療機関で高齢者虐待が見逃されてしまったら、要介護状態で訪問看護や訪問介護が入っていればまだしも、次に虐待を見つける機会はどこにあるでしょうか。慎重に対応する必要があります。
出典:松下年子・吉岡幸子・小倉邦子編『事例から学ぶ アディクション・ナーシング―依存症・虐待・摂食障害などがある人への看護ケア』中央法規出版、2009年