アルコール依存症治療の三本柱
2010年10月20日 09:40
【Q】
アルコール依存症の治療には三本柱というものがあるそうですが、どのようなものなのでしょうか? 教えてください。
【A】
アルコール依存症の治療では、外来通院と抗酒薬の内服、セルフヘルプグループへの参加が「治療の三本柱(三種の神器)」といわれています。この中で、外来通院はともかく、セルフヘルプグループへの継続的な参加(ミーティングへの参加)は、断酒の道を歩む人にとって強力な武器となります。多くの人は回復途上で複数回リラプス(再燃)しますが、グループではそれを肯定的にとらえ、その体験を有効活用します。時に、たまたま行ってみたセルフヘルプグループが自分に合わない、相性が悪い、自分が求めている先輩や回復者がいない、という場合もあるかもしれませんが、もしそうであれば、自分が気に入るセルフヘルプグループを自分の足で探し求めればよいのです。もちろん、その人にとって合わないセルフヘルプグループや先輩が、別の人にとってはベストであることもあります。セルフヘルプグループでは、彼らが自分の足で歩き、汗を流してミーティング会場に辿り着くことが重視されています。遠ければ遠いほどよいともいいます。
このセルフヘルプグループに関する基本はすべて、薬物依存症者のセルフヘルプグループにおいても同様です。ただし、薬物依存症者のセルフヘルプグループはアルコール依存症者のそれほど数が多くないため、複数のグループを歩き回るといっても限界はあるでしょう。
出典:松下年子・吉岡幸子・小倉邦子編『事例から学ぶ アディクション・ナーシング―依存症・虐待・摂食障害などがある人への看護ケア』中央法規出版、2009年