利用者と家族の意見が違う
2010年09月15日 10:00
【Q】
利用者本人はぜひサービスを利用したいと言うのですが、家族が認めようとしません。どのように調整したらいいでしょうか。
【A】
経験の浅い援助者の陥りやすい傾向としては、利用者の立場を尊重するあまりに家族の言い分や立場が見えにくくなることです。また、当然、その逆の傾向もあります。どちらかの立場に過度に感情移入している自分に気がついたら、まず自分自身を見つめ、双方を見て、その考えを中立的に修正していくことが必要です。
そうしたうえで、家族の意見調整に入りますが、以下に、一つの方法の例を紹介します。
最初に利用者と家族とで個別に面接をし、それぞれの考えと今後の見通しなどを聞き取ります。そのなかで事実について誤解や理解不足があれば、情報提供したり修正を行います。そして、両者との面接を通して、利用者と家族の相互関係(上下関係、親密さ、疎遠さ、依存、対立、価値観・生活観の相違・共通点、など)を把握します。最初からすべてを把握することは無理なので、仮説を立てながら少しずつ検証できればよいでしょう。その仮説をもとに、両者の意見調整を行います。そのゴールは必ずしも全員が納得できるものではない場合もありますので、その評価期限を決めて、うまくいかないときは別の方法を取ることも決めておきながら進めると良いかもしれません。
出典:神山裕美・木戸宜子編著『あれ?困った!どうしよう!? 対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年