利用者からの個人的好意
2010年09月17日 09:10
【Q】
ある利用者から熱烈なラブレターをもらってしまいました。どうしたらよいでしょうか…。
【A】
利用者がそれまでの生育過程のなかで、身内に向けてきた愛情や憎しみなどの感情を援助者に対して向けてしまうことがあります。これは感情転移と呼ばれます。援助関係とは、利用者の抱えている課題に取り組むための利用者と援助者との信頼関係であるとともに、利用者は援助者に対してさまざまな感情をもちやすい状況であるということは理解しておきましょう。
援助過程においては、利用者と援助者との関係性が重要視されますが、それはともに生活課題に取り組むための関係性であり、個人的な友好関係とは異なるものです。援助者の側も、業務のなかでのかかわりであることを日頃から利用者に理解してもらえるような態度をとっておく必要があります。業務時間外に個人的に対応をするというようなことは、避けるべきでしょう。
ご質問のような場合、利用者の好意に応えることができなくても、利用者の存在を否定するようなことにはならないような対応が必要です。しかし、両者にとって感情がかかわることですから、とても難しいことかもしれません。一人でかかえこまず、所属する組織の上司や同僚とも話し合い、担当者を複数にするなどチームとして対応する方法を考えていく必要があるでしょう。
出典:神山裕美・木戸宜子編著『あれ?困った!どうしよう!? 対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年