援助を拒否する利用者
2010年09月14日 09:40
【Q】
ある利用者は、「自分でやるから」「一人で大丈夫」と言って、私たちの援助を受け入れてくれません。とても一人でできるようには見えないのですが…。
【A】
利用者のストレングス(強み)に目を向けてみてはいかがでしょうか。「自分でやる」と言っているということは、「自分でやりたい」と意欲の高さを示しているともとらえることができます。このように考えると、その利用者を「現実をわかっていない人」というよりも、「意欲の高い人」ととらえることができます。つまり、利用者の気持ちを大事にし、現実の課題に取り組む意欲を認めることが大切です。自分の意欲を認められると、利用者のかたくなになっていた気持ちも溶けてくるでしょう。
そのうえで、本当に一人でやっていけるかどうかのシミュレーションをしてみて、現実的な認識を高めていくという方法もあるでしょう。例えば一人暮らしをしたいという障害者の場合、アパートを借りるのに必要な手順や、一人で暮らすことで起こる危険性、必要な援助はどのように求めるかなどについて一緒に考えていき、その過程で、現実的にどこまで一人でやれるのか、何の援助が必要なのかということが具体的になっていきます。
利用者ができないことを補うのも援助ですが、利用者の「できる」という気持ちを大事にし、その人がやっていこうとすることを支えるのも援助なのです。ただ、専門的な立場としては、その利用者の現実認識の度合いを理解し、見守りの体制をつくっていくことも考えなければなりません。
出典:神山裕美・木戸宜子編著『あれ?困った!どうしよう!? 対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年