利用者と会話が続かない
【Q】
利用者と話が続かず、沈黙の時間が多くて、なかなか本音を聞き出せません。面接の本などには「沈黙も重要」とは書いていますが、どうしても焦ってしまいます。
【A】
最初から、気さくにリラックスして利用者と面接ができる援助者など、そんなに多くはいません。ただ、利用者の話を聴きたい、もっとわかりたいという思いや、利用者に向き合おうとする姿勢は、必ず相手にも通じます。
マイクロカウンセリングの技法に「かかわり行動」という技法があります。これは、よく聴く(傾聴する)ための効果的な方法の基礎を具体的に示したものです。
「かかわり行動」の基礎は、視線、身体言語に気を配ること、声の調子、言語的追跡で、地域や利用者の気質に合わせて調整しながら活用すると、利用者に傾聴する気持ちが伝わりやすくなります。例えば、利用者の気持ちを聴きとるための視線の合わせ方や、前傾姿勢などの相手の話を聴いている気持ちが伝わる姿勢、うなずきや笑顔、相手の話に合わせた表情やしぐさや声の調子、わかりやすく穏やかな話し方、利用者の話を変えたり妨げたりせず、話の流れに合わせて聴いていくことなどを行うと、利用者に傾聴する気持ちや姿勢が伝わりやすくなります。
そのほか、あいづちの打ち方、同じ言葉を繰り返す明確化、感嘆の言葉や励まし、利用者の気持ちを受け止める感情の反映、利用者の話の別の言葉での言い換えや要約など、基本的な応答技術を身につけるだけでも利用者との話しやすさや違ってくるでしょう。
そして、自分が思うほど、利用者は沈黙を長く気まずい時間とは思っていないかもしれません。会話の反応や思考時間は人それぞれで、年齢や性別や身体機能が異なる利用者が相手では、会話のペースも違ってきます。沈黙の後で語られる言葉に真実や本音が表れることもあるので、あせらないで、利用者との会話を増やしていきましょう。
出典:神山裕美・木戸宜子編著『あれ?困った!どうしよう!? 対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年