介護福祉士の法的立場
【Q】
介護福祉士という資格の法的な位置づけを教えてください。
【A】
介護福祉士の意義や業務は、「社会福祉士及び介護福祉士法」という法律に定められています。
この法律において「介護福祉士」とは、第42条第1項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう。
つまり、介護を必要とする障害者(身体障害者、知的障害者、精神障害者)や高齢者などに対して、専門的な知識と技術を用いて介護を行う人が介護福祉士です。
しかし近年では、入浴・排泄・食事などの身体的な介護中心から、精神面や社会参加への支援など生活全体を支えるケアへの転換が求められるようになってきました。このため、2007年3月には介護福祉士・社会福祉士の資格の定義・義務や取得方法の見直し等を内容とした大幅な改正法案が提出され、同年11月に成立、12月に交付され、介護福祉士の定義は表のように見直されました。
改正後 | 現行 |
専門的知識・技術をもって、心身の状況に応じた介護等を行うことを業とする者
|
専門的知識・技術をもって、入浴、排せつ、食事その他の介護等を行うことを業とする者 |
また、介護福祉士の行う介護の対象となるのは障害者や高齢者ですが、高齢社会をむかえ、高齢者介護の現場、特に高齢者施設などが介護福祉士の主な職場になっています。
介護福祉士については、2010年6月末現在、89万6742人の登録者がいます。このうち、介護保険事業において介護の業務を行っている介護福祉士は30万5980人です。そして介護保険事業従事者の介護職員に占める介護福祉士の割合(実数ベース)は、介護老人福祉施設で47.1%、介護老人保健施設で52.0%、介護保険施設の平均でも46.6%なっており、施設で働く介護職員の5割近くが介護福祉士の資格をもっています(いずれも2008年10月1日現在)。
さらに介護職員については、「将来的には、任用資格は「介護福祉士」を基本とすべき」との意見も示されています。その意味では、介護福祉士の社会的役割はますます重要になっていくでしょう。
出典:吉岡讓治『職員と利用者を守る 介護現場の法律講座』中央法規出版、2010年