ホームヘルパーの法的立場
【Q】
ホームヘルパーの資格取得者について、法的な位置づけを教えてください。
【A】
養成研修修了者は従来「訪問介護員」「ホームヘルパー」と呼ばれていました。実務上は、今後もこれらの名称は残ると思われますが、法律上は「養成研修修了者」となります。
「養成研修修了者」は、利用者の自宅や特定施設(有料老人ホームやケアハウスなど)を訪問し、そこで介護サービスを提供することを業とする者のことをいいます。ホームヘルパーと呼ばれる人は、介護保険法制定以前から存在し、介護に関する業務を行っていました。しかし、介護保険法の施行により、法令上明確な位置づけを与えられたといえます。
介護保険法では、「訪問介護」「夜間対応型訪問介護」「介護予防訪問介護」は「介護福祉士その他政令で定める者」が行うと定めています。「政令で定める者」は、従来「訪問介護員」(ホームヘルパー)とされ、訪問介護員とは「訪問介護員養成研修」を受けて証明書の交付を受けた者を指していたのです。
しかし2006年、介護職員の研修体系が見直され、法令上、従来の「訪問介護員」は「養成研修修了者」となりました。これは、介護職の人材の確保・向上のため介護職員について、「将来的には、任用資格は「介護福祉士」を基本とすべき」であるとする2004年の社会保障審議会介護保険部会の提言に沿うものです。
これにより、従来は訪問介護員養成研修のみであったものに「介護職員基礎研修」が加わりました。その結果、研修は介護全般に関する「介護職員基礎研修課程」と訪問介護に関する一級から三級までの課程が存在しています。これを総称して「介護員養成研修」と称し、研修について修了証の交付を受けた者を「養成研修修了者」といいます。現在、訪問介護は介護福祉士と養成研修修了者によって担われています。
出典:吉岡讓治『職員と利用者を守る 介護現場の法律講座』中央法規出版、2010年