インターネット依存症
【Q】
インターネットや携帯電話にはまる子どもも多くいますが、嗜癖というとらえ方をしてもよいものでしょうか? また、かかわる際の注意点などがあれば教えてください。
【A】
インターネッにはまる人の基本的条件や傾向として、インターネット操作ができること、最初の段階で、それを嗜癖的に操作できるような(操作に没頭できるような)時間と場所があること、インターネットに特有な世界が自分にマッチすること、例えば、人との生のかかわりよりも画面上の仮想のかかわりを好むこと(生のかかわりが苦手であること)、即効性を求めること(計画や思考のプロセスよりも結果に価値を置き、結果に至るまでの人的なやりとりは排除したい傾向にあること)等があげられます。なお、ほかにインターネット依存症と類似したところでコンピューター依存やブログ依存等がありますが、特にブログは、今や小学生、中学生の間ですっかり浸透し、現代っ子のコミュニケーションツールになっています。携帯によるコミュニケーションと同じで、自分の使用したい時に使用でき、情報を得たい時に得ることができるという融通のよさが魅力の1つでしょう。しかし、時に危険な事態に巻き込まれる可能性もあり、で自己責任が問われるツールでもあります。判断能力のある人が使用するならばよいのですが、子どもが使用する場合は注意が必要です。
こうして振り返っていくと、インターネットからコンピューター、ブログ、場合によっては携帯電話さえ依存対象としてとらえることが可能ですが、元々は、コントロールがきかないほどインターネットに夢中になってしまい、挙句の果てに長時間パソコンから離れられない、学校に行けない、本来の仕事ができない、家事ができないという人たちが依存症です。すべての事象をアディクションや病気の枠組みでとらえ、何でもかんでもアディクションや病気にしてしまうことは適切といえません。
出典:松下年子・吉岡幸子・小倉邦子編『事例から学ぶ アディクション・ナーシング―依存症・虐待・摂食障害などがある人への看護ケア』中央法規出版、2009年