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性(恋愛)依存症

【Q】
 恋愛などに没頭して、ほかのことがみえなくなってしまう人がいますが、これも嗜癖ととらえることができますか?

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【A】
 性(恋愛)依存症も対人関係依存(嗜癖)の1つです。依存対象は恋愛相手の異性であったり、その人との性的関係そのものだったりします。普通の恋愛との相違は、まず相手との恋愛関係を通じて本人や相手、または周囲に明らかな支障が生じていること、また恋愛の様相が、次から次へと相手を変えていくパターンであったり、「(特定の)誰かを愛する」というよりはむしろ「誰かを愛さずにはいられない」という強迫性を帯びていることです。ここで注意してほしいのは、「○○さんを愛さずにはいられない」ではなく、「誰かを愛さずにはいられない」という心性です。インターネット依存と重複した性依存症もあるようですが、それも性依存の一形態といえます。
 とはいえ、今のところ臨床の場で性依存症という診断名を得ることは少ないと思われます。多くはほかの精神疾患名をもって、あるいは、さまざまな依存症を包含した依存症候群としてとらえられており、前者の場合は、感情障害、不安障害、パーソナリティ障害等に併発している嗜癖症状というとらえ方になります。実際、うつ病の患者が薬物療法を受けている間に躁転し、恋愛依存症とまったく同じような状態を呈することがあります。それまで恋愛の「れ」の字も縁のなかった中年の女性が、突然人が変わったように男性を追いかけるようになることもあるのです。

出典:松下年子・吉岡幸子・小倉邦子編『事例から学ぶ アディクション・ナーシング―依存症・虐待・摂食障害などがある人への看護ケア』中央法規出版、2009年


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