利用者への対応に時間がとられる
【Q】
家族関係が複雑だったり、一人暮らしで認知症があるなどの理由で終始職場に連絡が入り、呼び出されることがあります。その対応だけで時間がかかり、他の仕事が進みません。
【A】
連絡があったときの迅速な対応は大切ですが、このような場合、この仕事の優先度がどの程度なのか、自分の業務とのバランスですぐに対応すべきことなのか、少し時間をおけるのか、ケースを客観的に把握しておくことが大切です。
例えば、利用者や家族が心身とも不安定で生命に危険があるときは、すべての仕事を中止してでもかけつけなければなりません。状態の急変、事故や怪我、徘徊などによる行方不
明、自殺の危険などは、最優先に対応しなければなりません。
反面、電話で対応できる場合などもあります。利用者や家族の不安感、援助者への相談、手続きや用事の依頼など、対応可能な時間を約束すればよい場合もあります。すぐに対応できなくても、約束を守ることで利用者や家族との信頼関係は保たれます。
しかし、利用者ニーズによる業務の優先順位づけは、経験の浅い援助者の場合、少し難しいかもしれません。電話だけで安易な判断をするよりも、まずは現場に行って自分の目で確かめたほうが、早急な対応が必要なのか、少し時間をおいてもよいのか、わかるようになるかもしれません。また、どうしても判断がつかない場合は、日頃からケースの経過を先輩や上司に相談しながら進め、スーパービジョンを受けることも良い方法です。
いずれにしても、目の前の利用者や家族から学ぶことは多いものです。労を厭わず現場に行き、利用者や家族と接することが大切です。その際、対応経験の蓄積だけでなく、緊急度の判断や自分の業務のバランスとの「ものさし」を、自分なりにつくっていくとよいでしょう。
出典:神山裕美・木戸宜子編著『あれ?困った!どうしよう!? 対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年