ニコチン依存症
2010年08月24日 09:40
【Q】
喫煙をなかなかやめられない人がいます。これも嗜癖(依存症)ととらえることができるのでしょうか?
【A】
喫煙をやめられず、依存といえる状態(ニコチン依存症)にまでなってしまっている人の症状の特徴は、喫煙に対する強い渇望と、禁煙によって生じる離脱症状です。DWM-IV-TRでは、ニコチン離脱は、ニコチン使用の突然の中止または減量に続く24時間以内に、(1)不快または抑うつ気分、(2)不眠、(3)いらだたしさ、欲求不満、または怒り、(4)不安、(5)集中困難、(6)落ち着きのなさ、(7)心拍数の減少、(8)食欲増加または体重増加、のうち4つ(またはそれ以上)の徴候が認められた場合に診断されるとしています。
離脱症状が生じるということは、禁煙もほかの嗜癖と同様に、意志では何ともしがたい生理的要因をもってドロップアウトしやすいことを意味します。つまり禁煙には、他者の支援が必要なのです。禁煙を試みる者は「自分で何とかできる」という発想を捨て、「自分は他者の支援を得て禁煙することができる」「支援を求める権利がある」というとらえ方に転換するのが望ましいでしょう。
出典:松下年子・吉岡幸子・小倉邦子編『事例から学ぶ アディクション・ナーシング―依存症・虐待・摂食障害などがある人への看護ケア』中央法規出版、2009年