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福祉マイスターへの道 毎日更新

入浴拒否への対応

【Q】
 入浴を拒否される方には、どのように対応すればよいのでしょうか?

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【A】
 「入りたくないという意志や自己決定を尊重したいので、無理には入っていただきません。結果として、2か月入浴されていない方がいます」という施設がありました。これは明らかに、「尊重」という名を借りた「介護放棄」です。
 介護の役割は「言葉にならない想い」や「言葉に込められた真意」を想像することです。「入りたくない」という言葉を表面的に受け止めて、かかわることを放棄するのではなく、反対に無理強いするのでもなく、どうしたら「安心して気持ち良く入っていただけるのか」「『いい湯だった』と言ってもらえるのか」を考えて試行錯誤し、創意工夫することです。
 そうはいっても、努力すれば報われるというものではなく、1回成功すれば2回目も成功というわけにはなかなかいきません。「下心、あせり、手抜き」はちゃんと見破られます。万策が尽きて、あとはなるようにしかならないと開き直ると、すんなり入ってくださったり、普段はなかなか湯船から上がってくださらない方が、さっさと上がってくださいます。
 振り回されているようにもみえながら、「決め付けない、諦めない、見限らない」で試行錯誤と創意工夫を積み重ねていくと、確実に双方の関係が変わり、深まったりします。
 入浴は目的であると同時に、手段でもあるのです。そして、自分自身の存在も「道具・媒体」として、その方の入浴、生活、人生にかかわり続けることが「介護」です。

出典:上野文規+下山名月監『お風呂が生活を変えていく』中央法規出版、2007年


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